風地観(見る、示す/思索し反省する)
observation:観察/contemplation:沈思黙考,観想;looking
現状をつぶさに観察せよ。
自らを省みて、努力すべし。
物大然後可觀。故受之以觀。
物大いにして然る後観るべし。故にこれを受くるに観を以てす。
物は大きくなってその後に初めて仰ぎ見ることができる。
観は凝視して物事をよくよくみつめ観察すること。奥の底まで見抜くこと。
やたらに高望みしたり、夢を追うたりすることが多く、所詮はかなく水泡に帰すことになる。運勢は下り坂で、季節なら秋の兆しの見え始めた頃である。
こんなときは何をやっても良いためしはなく、進んで憂き目に遭うのが関の山。
特に金儲けや、金銭感覚には縁がなく、下手に触れるととんでもないことになる。
じっと我慢のときで、物事を考えたり、自分のことを反省したりすることはたいへん良い。
停滞ムードの時は兎角あせりがちで、流れを変えようとして積極的に出ようとするが、これはむしろマイナスで逆に損の上塗りになったり、深みにはまり込んだりする。
時機が到来すれば必ずツキが出てくるから、それまで決してあわてないこと。
学問や信仰はこの卦にぴったりの時。
[嶋謙州]
よく修養して人格の出来た人が現れ、座につきますと、参列の人々が粛然としてこれを観る。これが観であります。
観に二つの場合がありまして、ひとつは傍観といって高いところから見渡すことであり、他の一つは仰観といって下から仰ぎみることであります。
また、観世音の観などというのは、たいへん良い文字でありまして、これはただ見るのではなく、心のこもった、精神の高まった心でみるという観であります。
この卦は、自らを修めて人の範ととなり、人々から仰ぎ見、慕われるようにならなければならないという戒めの卦であります。
[安岡正篤]
觀。盥而不薦。有孚顒顒若。
観は盥して薦せず、孚あって顒若たり。
彖曰。大觀在上。順而巽。中正以觀天下。觀盥而不薦。有孚顒若。下觀而化也。觀天之神道而四時不忒。聖人以神道設教。而天下服矣。
彖に曰く、大観上に在り。順にして巽。中正以て天下に観す。観は盥して薦せず、孚あって顒若たり、下観て化するなり。天の神道を観るに、しかも四時忒わず。聖人神道を以て教を設けて、天下服す。
象曰。風行地上觀。先王以省方觀民設教。
象に曰く、風地上を行くは観なり。先王以て方を省、民を観、教えを設く。
初六。童觀。小人无咎。君子吝。
象曰。初六童觀。小人道也。
初六は、童観す。小人は咎なし。君子は吝。
象に曰く、初六童観は、小人の道なり。
六二。闚觀。利女貞。
象曰。闚觀女貞。亦可醜也。
六二は、闚観す。女貞に利あり。
象に曰く、闚観女貞なるも、亦醜ずべきなり。
六三。觀我生進退。
象曰。觀我生進退。未失道也。
六三は、我が生を観て進退す。
象に曰く、我が生を観て進退す、いまだ道を失せざるなり。
六四。觀國之光。利用賓于王。
象曰。觀國之光。尚賓也。
六四は、国の光を観る。用て王に賓たるに利あり。
象に曰く、国の光を観る、賓たらんことを尚うなり。
九五。觀我生。君子无咎。
象曰。觀我生。觀民也。
九五は、我が生を観る。君子なるときは咎なし。
象に曰く、我が生を観るは、民を観るなり。
上九。觀其生。君子无咎。
象曰。觀其生。志未平也。
上九は、その生を観る。君子なるときは咎なし。
象に曰く、その生を観る、志しいまだ平らかならざるなり。
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