地澤臨(迫り臨む/世に臨む)
development:発展/approach:接近
時期到来す。時はまさに今なり。
盛者必衰、心を引き締めるべし。
有事而後可大。故受之以臨。臨者大也。
事ありて而る後大なるべし。故にこれを受くるに臨を以てす。臨とは大いなり。
いろんな出来事があり、それをうまく処置することができてその後にはじめて大きくなることができる。
臨とは高いところから低いところを見下ろすこと。転じて支配と保護を及ぼすことである(君臨)
あるものに臨むにはそのものよりも高いところにいるか、大きいことが必要であることから「大いなり」という。
物事が順調に滑り出して行く時で、希望は達成され、計画したことや仕事は大いに前向きに進展していく。だから運勢は頗る強大で、この卦が出たら何事も進んで効果のあがる時といえる。
しかし、考え方を固執したり意地を張って時機を逃がしては何もならず、事々に素早い決断が大切である。
要するに臨機応変の構えが絶えず必要と云え、そうすることによって事態が発展していくのである。
この卦のときは移転問題、模様替え、職場の配置換え、転業などが多く見られ、若い女性であると妊娠の兆候があったりする。
これからグングンと運気の上昇していくときだから行く先々は楽しみだが、その為に下手な取り越し苦労や躊躇することは避けたほうが賢明というもの。
[嶋謙州]
余裕ができると、人も金もついてくる。すると悪い虫がつく。そこでこの悪い虫、すなわち障害や難事をよく排除するとまた新しい天地が開けて、喜ぶことができるという卦であります。
[安岡正篤]
臨。元亨利貞。至于八月有凶。
臨は、元いに亨る貞しきに利あり。八月に至りて凶あり。
彖曰。臨。剛浸而長。説而順。剛中而應。大亨以正。天之道也。至于八月有凶。消不久也。
彖に曰く、臨は、剛浸くにして長ず。説んで順う。剛中にして応ず。大いに亨るに正を以てす、天の道なり。八月に至りて凶あり、消すること久からざるなり。
象曰。澤上有地臨。 君子以教思无窮。容保民无疆。
象に曰く、沢上に地あるは臨なり。君子以て教思窮まりなく、民を容れ保んずること疆りなし。
初九。咸臨。貞吉。
象曰。咸臨貞吉。志行正也。
初九は、咸じて臨む。貞にして吉なり。
象に曰く、咸じて臨む貞吉なるは、志し正を行うなり。
九二。咸臨。吉无不利。
象曰。咸臨吉无不利。未順命也。
九二は、咸じて臨む。吉にして利あらざるなし。
象に曰く、咸じて臨む、吉にして利ありざるなきは、いまだ命に順わざるなり。
六三。甘臨。无攸利。既憂之。无咎。
象曰。甘臨。位不當也。既憂之。咎不長也。
六三は、甘んじて臨む。利するところなし。既にこれを憂うれば、咎なし。
象に曰く、甘んじて臨む、位当らざるなり。既にこれを憂う、咎は長からざるなり。
六四。至臨。无咎。
象曰。至臨无咎。位當也。
六四は、至りて臨む。咎なし。
象に曰く、至りて臨む、咎なきは、位当ればなり。
六五。知臨。大君之宜。吉。
象曰。大君之宜。行中之謂也。
六五は、知あって臨む。大君の宜なり。吉。
象に曰く、大君の宜は、中を行うの謂いなり。
上六。敦臨。吉无咎。
象曰。敦臨之吉。志在内也。
上六は、臨むに敦し。吉にして咎なし。
象に曰く、敦臨の吉なるは、志し内に在ればなり。
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