山風蠱(腐敗、腐敗を建直す事業/先代の弊害を是正する)
improvement:改善/arresting decay:腐敗の阻止
内部に問題あり。腐敗せるところあり。
迅速果敢に改革すべし。
以喜隨人者必有事。故受之以蠱。蠱者事也。
喜びを以て人に随う者は必ず事あり。故にこれを受くるに蠱を以てす。蠱とは事なり。
喜び楽しんで人に従う泰平なときは安楽に流れその結果、内部に腐敗と混乱が進行し必ずいろいろなことが起こる。
しかし絶望することはない。これを機に内部に巣食う病根を徹底的に摘出することだ。腐敗と混乱のときは、同時に革新、新生の時代でもある。
現状のままでは維持できず、何らかの対策か改良を加えねばならないとき。
内部に不正や疑惑、三角関係が見られるが、それらは表面に出ず、外観はすこぶる平穏で何事もない様相を呈している。
放っておけば事態は益々悪くなり禍根を深めることになるから、ここは思い切って憎まれても嫌われてもいいから躊躇せず荒療治をしなければならぬ。
運勢は無論下り坂で面白くないが、しかし運勢が弱いからといって、ただ手をこまねいて引っ込み思案になってはいけない。
どんとぶつかって積極的に善処に踏み切って見よう。
そのままで流れに逆らわず現況を固執して行けば最悪の状態になることは火を見るよりも明らかだら、この卦では必ず改善の為、力を注ぐことを忘れないように。
[嶋謙州]
蠱は木皿に虫がくっついておるという字で、腐敗、壊乱を意味します。厄介な障害を排除して進まなければならぬことを教えております。
[安岡正篤]
蠱。元亨。利渉大川。先甲三日。後甲三日。
蠱は、元いに亨る。大川を渉るに利あり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。
彖曰。蠱。剛上而柔下。巽而止蠱。蠱元亨。而天下治也。利渉大川。往有事也。先甲三日。後甲三日。終則有始。天行也。
彖に曰く、蠱は、剛上にして柔下なり。巽にして止まるは蠱なり。蠱は元いに亨りて、天下治まる。大川を渉るに利あり、往きて事あるなり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日、終れば始あり、天行なり。
象曰。山下有風蠱。君子以振民育徳。
象に曰く、山下に風あるは蠱なり。君子以て民を振し徳を育う。
初六。幹父之蠱。有子考无咎。厲終吉。
象曰。幹父之蠱。意承考也
初六は、父の蠱に幹たり。子あれば考咎なし。厲めば終に吉。
象に曰く、父の蠱に幹たり、意考に承くるなり。
九二。幹母之蠱。不可貞。
象曰。幹母之蠱。得中道也
九二は、母の蠱に幹たり。貞にすべからず。
象に曰く、母の蠱に幹たり、中道を得るなり。
九三。幹父之蠱。小有悔。无大咎。
象曰。幹父之蠱。終无咎也
九三は、父の蠱に幹たり。小しく悔あり、大なる咎なし。
象に曰く、父の蠱に幹たり、終に咎なきなり。
六四。裕父之蠱。往見吝。
象曰。裕父之蠱。往未得也
六四は、父の蠱を裕うす。往くときは吝を見る。
象に曰く、父の蠱を裕うす、往かんとしていまだ得ざるなり。
六五。幹父之蠱。用譽。
象曰。幹父。用譽。承以徳也。
六五は、父の蠱に幹たり、用て誉れあり。
象に曰く、父の蠱に幹たり、用て誉れあるは、承くるに徳を以てするなり。
上九。不事王侯。高尚其事。
象曰。不事王侯。志可則也。
上九は、王候に事えず、その事を高尚にす。
象に曰く、王候に事えず、志し則るべきなり。
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