火天大有(大なる所有/輝く真昼の太陽)
satisfaction:満足/great possessions:偉大な富,財産,所有物
天の時を得たり。万事盛大に赴かんとするなり。
宿望達成の時なり。されど節度を失わざるべく自戒すべし。
與人同者物必歸焉。故受之以大有。
人と同じくする者は、物必ず焉に帰す。故にこれを受くるに大有を以てす。
中天高く輝くの太陽のイメージ。人と心を同じくして協同する者には、人や物は必ず帰服し付き従ってくる。
大有とは、各々が分相応に時と所を得て満足している状態のこと。
忠誠な騎士に護られている女王のイメージ。
今が運勢頂上の時である共に、運勢下降の兆しが見えてきたときともいえる。
「満つれば欠くるの習いあり」人生いつまでも良いときばかりではない。
悪いときのことも考えて常に反省自重し、極力現状を維持せねばならぬ。
運勢は最高の時であるが、兎角惰性に流されて現状を甘く見すぎるきらいがある。
今の間にやりかけたことは片付けて置くとかして、仕事を将来に持ち込まぬように注意すること。
これ以上の深追いや、欲を出すことは絶対にいけない。
現状に充分満足感を味わうようにすること。又、この卦のときは案外雑事が出てくるから、なおざりにしないでテキパキと処理し、きっちりと納めて置くことが肝要。
[嶋謙州]
人々が共同しますと、そこに個人の持たないエネルギー、すなわちいろいろの意味の力と内容を持つようになる、これが大有であります。
とかく人間は、いい気になるものである。そこで次に謙の卦を置いて戒めております。
すなわち盛運を抑制して、永続する努力をせよと教えているのであります。
[安岡正篤]
大有。元亨。
大有は、元いに亨る。
彖曰。大有。柔得尊位。大中而上下應之。曰大有。其徳剛健而文明。應乎天而時行。是以元亨。
彖に曰く、大有は柔尊位を得、大中にして上下これに応ずるを、大有と曰う。その徳剛健にして文明、天に応じて時に行く、ここを以て元いに亨る。
象曰。火在天上大有。君子以遏惡揚善。順天休命。
象に曰く、火天上に在るは大有なり。君子以て悪を遏め善を揚げ、天の休命に順う。
初九。无交害。匪咎。艱則无咎。
象曰。大有初九。无交害也。
初九は、害に交わることなし。咎あるにあらず。艱むときは咎なし。
象に曰く、大有の初九は、害に交わることなし。
九二。大車以載。有攸往。无咎。
象曰。大車以載。積中不敗也。
九二は、大車以て載す。往くところあり、咎なし。
象に曰く、大車以て載す、中に積んで敗れざるなり。
九三。公用亨于天子。小人弗克。
象曰。公用亨于天子。小人害也。
九三は、公用て天子に亨す。小人は克わず。
象に曰く、公用て天子に亨す、小人害あるなり。
九四。匪其彭。无咎。
象曰。匪其彭无咎。明辯晢也。
九四は、その彭なるにあらず。咎なし。
象に曰く、その彭なるにあらず、咎なきは、明弁晢たるなり。
六五。厥孚交如威如。吉。
象曰。厥孚交如。信以發志也。威如之吉。易而无備也。
六五は、その孚あって交如たり威如たるときは、吉なり。
象に曰く、その孚あって交如たり、信以て志しを発するなり。威如の吉なるは、易くして備うるなければなり。
上九。自天祐之。吉无不利。
象曰。大有上吉。自天祐也。
上九は、天よりこれを祐く。吉にして利あらざるなし。
象に曰く、大有の上の吉なるは、天より祐くればなり。
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