天火同人(人を集める・人との調和/同行)
cooperation:共同/welcome:歓待,歓迎
胸襟を開いて努力すべし。運気盛大なり。
公明正大に同志と協調すべし。衆智を集めれば成就するを得ん。
物不可以終否。故受之以同人。
物は以て否に終わるべからず。故にこれを受くるに同人を以てす。
同人とは人と同じくすること、人と協調すること。お互いに違う者同志が同じ方向に進もうと心を同じくし力を合わせることを同人という。しかし、附和雷同ではいけない。
運気は強く昇り坂で、何か物事に挑戦したくなるときと云える。
いわゆるツキ運の見えてくる時であるが、そうかと云ってベタぼれに突き進んで行くわけにも行かず、ここは一番協力者が欲しいときでもある。一人で事を起こしては、いくら好運であるからと云っても事が思うようにいかなかったりする。要するに負担が重くなって途中で投げ出したりするのが関の山というところである。
ところが何人かと共同して事を行えば、運勢に相乗作用が加えられて、なんともはや上手くスムーズに物事が運ぶことになる。ここは一番独走せず、賑やかに共同作戦と行こう。結婚なんかは共同の行為であり、心を一つにして未来に進む同人だから最高である。
[嶋謙州]
個人生活から次第に社会生活に進みますと、いろいろの意味で似たものが集まる。たとえば、同じ学校を出たとか、同じ職業に従事しておるとか、あるいは志を同じくするなどによって集まります。これが同人の卦であります。たがいに手を携えていくと、運が拓けてくるという意味であります。
[安岡正篤]
同人于野。亨。利渉大川。利君子貞。
人に同じうするに野に于いてす。亨る。大川を渉るに利あり。君子の貞に利あり。
野には様々な意味があり、そもそも漢語では政府以外の民間部門全体を指す(在野・朝野)
都に対する野鄙、保身に対する野心、他にも野原、平野、隠し隔てのない公の場、日常から遠く離れた場所(非日常)、郊外よりも遠い場所、さらに世界の果て地の果てのような遠い場所をいう。
五陽中の一陰(六二)を君子の貞とみる。
(在野の)同志と協同して行うときは、広野のまん中に立つような公明正大・公平な態度であれば、その志は天に通じる。チャレンジャーで冒険的な大事の決行も可能である。ただし君子の道にかなうようにしてこそ利益がある。⇒吉田松陰:草莽崛起
彖曰。同人。柔得位得中而應乎乾。曰同人。(同人曰)同人于野。亨。利渉大川。乾行也。文明以健。中正而應。君子正也。唯君子爲能通天下之志。
彖に曰く、同人は、柔位を得中を得て乾に応ずるを、同人と曰う。同人野に于いてす、亨る、大川を渉るに利ありとは、乾の行なり。文明は以て健、中正にして応ず、君子の正なり。ただ君子のみ能く天下の志しを通ずと為す。
象曰。天與火同人。君子以類族辯物。
象に曰く、天と火とは同人なり。君子以て族を類し物を弁ず。
初九。同人于門。无咎。
象曰。出門同人。又誰咎也。
初九は、人に同じうするに門に于いてす。咎なし。
象に曰く、門を出て人に同じうす、また誰か咎めん。
六二。同人于宗。吝。
象曰。同人于宗。吝道也。
六二は、人に同じうするに宗に于いてす。吝なり。
象に曰く、人に同じうするに宗に于いてす、吝の道なり。
九三。伏戎于莽。升其高陵。三歳不興。
象曰。伏戎于莽。敵剛也。三歳不興。安行也。
九三は、戎を莽に伏し、その高陵に升る。三歳まで興さず。
象に曰く、戎を莽に伏するは、敵剛なればなり。三歳まで興らず、いずくんぞ行かん。
九四。乘其墉。弗克攻。吉。
象曰。乘其墉。義弗克也。其吉則困而反則也。
九四は、その墉に乗る。攻むる克わず。吉なり。
象に曰く、その墉に乗る、義克たざるなり。その吉なるは困しんで則に反ればなり。
九五。同人先號咷而後笑。大師克相遇。
象曰。同人之先。以中直也。大師相遇。言相克也。
九五は、人に同じうするに、先には号び咷いて後には笑う。大師克ちて相い遇う。
象に曰く、同人の先は、中直を以てなり。大師相い遇うは、相い克つを言うなり。
上九。同人于郊。无悔。
象曰。同人于郊。志未得也。
上九は、人に同じうするに郊に于いてす。悔なし。
象に曰く、人に同じうするに郊に于いてす、志しいまだ得ざるなり。
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