風天小畜(小さな停止、小さな蓄積/降りそうで降らない空模様)
discontented:不満/mild restraint:束縛,拘束
障碍ありといえども小なり、着実に努力を重ねれば運は開くものなり。力は僅かなり。
力量いまだ不足なり。天機の熟すを待つべし。
比必有所畜。故受之以小畜。
比しめば必ず畜うる所有り。故にこれを受くるに小畜を以てす。
小畜には、少し蓄える、少し止めるという意味がある。
小なる者(ひとつの陰)が大(五つの陽)を止める。または貯える。
組織内部がよく和しているならば、物が貯えられ豊かになるだろうし、互いに離れがたくなり留まるようになる。
妻が夫を、部下が社長を止めるような小畜の象は、力で押さえて止めるのではなく、謙り柔和な態度を用いて止めるのである。(参考⇒大畜)
何物かに止められている形がこの卦であるが、その為不平不満が充満してぶすぶすくすぶっており、今にも爆発しそうな雰囲気である。
運勢は強大とはいえないが、そうかといって決して弱いわけでもなく、出方によっては事態を切り開いていく力は充分持ち合わせている時といえよう。
少々の摩擦も余り神経質にならず、どんとぶつかって行くくらいの気構えが欲しい。
なまじっか小細工をしたり、小賢しく才能と策略で対抗しようとしたり、また分別臭いことはしない方がよさそう。
腹と腹でいいたいことは言って、後はさっぱりする方がうまく行きそうである。
物事に対しては行動を起こして後、先には多少危ぶまれたことも自然と歯車が廻りだしてくるものである。
[嶋謙州]
人間は自らの中に、いろいろな能力、つまり才能とか、情操とか、智恵というものを持ちませんと、外にばかり走って機械化、唯物化します。
そこで子供がある程度の年齢に達すると、内面生活、徳というものを蓄えるように指導しなければなりません。これが小畜であります。
[安岡正篤]
小畜亨。密雲不雨。自我西郊。
小畜は亨る。密雲して雨ふらず、わが西郊よりす。
彖曰。小畜。柔得位而上下應之。曰小畜。健而巽。剛中而志行。乃亨。密雲不雨。尚往也。自我西郊。施未行也。
彖に曰く、小畜は柔位を得て上下これに応ずるを、小畜と曰う。健にして巽、剛中にして志し行わる。すなわち亨る。密雲して雨ふらざるは、なお往くなり。わが西郊よりするは、施しいまだ行われざるなり。
象曰。風行天上小畜。君子以懿文徳。
象に曰く、風天上に行くは小畜なり。君子以て文徳を懿す。
初九。復自道。何其咎。吉。
象曰。復自道。其義吉也。
初九は、復ること道よりす。何ぞそれ咎あらん。吉なり。
象に曰く、復ること道よりす、その義吉なり。
九二。牽復。吉。
象曰。牽復在中。亦不自失也。
九二は、牽いて復る。吉なり。
象に曰く、牽いて復る中に在り、また自ら失せざるなり。
九三。輿説輻。夫妻反目。
象曰。夫妻反目。不能正室也。
九三は、輿輻を説く。夫妻目を反む。
象に曰く、夫妻目を反むるは、室を正しくする能わざればなり。
六四。有孚。血去愓出。无咎。
象曰。有孚愓出。上合志也。
六四は、孚あり。血去り愓出づ。咎なし。
象に曰く、孚あり血去り愓出ずるは、上、志しを合わせばなり。
九五。有孚攣如。富以其鄰。
象曰。有孚攣如。不獨富也。
九五は、孚あり攣如たり。富その隣と以にす。
象に曰く、孚ありて攣如とは、独りは富まざるなり。
上九。既雨既處。尚徳載。婦貞厲。月幾望。君子征凶。
象曰。既雨既處。徳積載也。君子征凶。有所疑也。
上九は、既に雨ふり既に処る、徳を尚んで載つ。婦貞なれども厲し。月望に幾し。君子征けば凶。
象に曰く、既に雨ふり既に処る、徳積み載つるなり。君子征けば凶、疑うところあるなり。
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