地水師(軍隊、戦争/指導者の心得)
war:戦争/the army:軍隊
平安の時ならず、良き師に順ふべし。
天下の模範となるべく、人に接すべし。
訟必有衆起。故受之以師。師者衆也。
訟には必ず衆の起ること有り。故にこれを受くるに師を以てす。師とは衆なり。
師は「もろもろ」と訓じ、大勢の人のことをいう。ここから転じて軍隊の意味となす。
※周の兵制~旅団:500人/師団:2,500人/軍団:12,500人
野望に対してアタックしていく構えを表しているのがこの卦である。
運勢は決して強いとは云えない。無理に強く見せ、無理に強くさせようとするのがこの卦のミソかもしれない。余儀なく運勢の波に押され、目的に向かって挑戦していく姿を表明しているとも云える。人生は戦争ともいえるが、それだけに作戦計画もしっかり立て、戦いに敗れて落伍者とならないように注意しなければならない。
この卦のときは無理に突き進んで争いのもとになったり、面白くないことがおこったりしがちだから、物事を進めるときは慎重にして、決して猪突猛進したり、無分別なことはしないこと。
資力や人力、状況も有利で勝つ自信のある戦争なら戦ってもよいが自信のない戦いはむしろ辞めて平和を維持するのが得策。
[嶋謙州]
師の字は「もろ」と読みまして、もろもろの意味を要約したものであります。
子供が成長しますと友達を求めて孤独から群居する。集団生活になりますので、欲望、感情というものが複雑になって、いざこざ、すなわち争いがおこります。
これを師といい、やがてこの字を軍隊に使うようになりました。
国家の安全のためには、防衛を必要とし、軍隊を設置します。
師は軍隊でありますから、軍事作戦をも意味するのであります。
[安岡正篤]
師貞。丈人。吉无咎。
師は貞。丈人なれば、吉、咎なし。
彖曰。師衆也。貞正也。能以衆正、可以王矣。剛中而應。行險而順。以此毒天下。而民從之。吉又何咎矣。
彖に曰く、師は衆也。貞は正なり。能く衆を以いて正しければ、以て王たるべし。剛中にして応ずじ、険を行ないて順。これを以て天下を毒して、民これに従う。吉、また何んの咎あらん。
象曰。地中有水師。君子以容民畜衆。
象に曰く、地中に水あるは師なり。君子以て民を容れ衆を畜う。
初六。師出以律。否臧凶。
象曰。師出以律。失律凶也。
初六は、師出ずるに律を以てす。臧からざれば凶。
象に曰く、師出ずるに律を以てす、律を失えば凶なり。
九二。在師中。吉无咎。王三錫命。
象曰。在師中吉。承天寵也。王三錫命。懷萬邦也。
九二は、師中に在り。吉にして咎なし。王三たび命を錫う。
象に曰く、師中に在り吉とは、天寵を承くるなり。王三たび命を錫うは、万邦を懐くるなり。
六三。師或輿尸。凶。
象曰。師或輿尸。大无功也。
六三は、師或いは尸を輿う。凶なり。
象に曰く、師或いは尸を輿うとは、大いに功なきなり。
六四。師左次。无咎。
象曰。左次无咎。未失常也。
六四は、師左りに次る、咎なし。
象に曰く、左りに次る咎なしとは、いまだ常を失わざればなり。
六五。田有禽。利執言。无咎。長子帥師。弟子輿尸。貞凶。
象曰。長子帥師。以中行也。弟子輿尸。使不當也。
六五は、田して禽あり。執言に利あり。咎なし。長子師を帥ゆ。弟子尸を輿う。貞なるも凶。
象に曰く、長子師を帥ゆ、中行を以てなり。弟子尸を輿う、使うこと当らざるなり。
上六。大君有命。開國承家。小人勿用。
象曰。大君有命。以正功也。小人勿用。必亂邦也。
上六は、大君命あり。国を開き家を承く。小人は用うるなかれ。
象に曰く、大君命あり、以て功を正しくするなり。小人用うるなかれとは、必ず邦を乱ればなり。
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